オリエンタルラジオから逃げて来たテツandトモと摩邪。 逃げた先は洞窟。逃げるには良い場所…とはいい難いが今はここしかないだろう。 突然襲ってきた後輩に驚きを隠せない摩邪はがっくりと膝をついた。

もう誰も信じられない。

彼女の背中から二人はそう読んでいた。 彼女がそう思うのは無理も無いだろう。 自分たちだってまだ本格的に戦う準備など出来ていないのだから。 「少し休んだ方がいいよ」 優しいテツの言葉に摩邪は黙って頷いて何の警戒もせずに横になった。 この人たちなら大丈夫。そう思いきっているはずだった。 「水くんでくるよ」 テツに支給されたのはピアノ線。人を狩るには十分であろう道具。 トモに支給されたのは小さなバケツ。水で命を繋ぎとめるには十分であろう道具。 トモが出て行ったしまった後、テツは眠る摩邪を見つめた。

…これからどうする。
…自分の命を守るのも精一杯なのに彼女を連れていけるか。
…彼女は本当に大丈夫か
…彼女に戦う意志はあるのか
脳内で箇条書きしていくがまとまらない考えにテツは頭を抱えた。 いくら考えても『どうする』しか出てこない。
「…くそっ…!」
苛立ちは確実に彼を追いつめていた。 ゲームが始まってからけっこうな時間がたつがテツが地に足をつけていられるのは相方のおかげであろう。 二人ならなんとかなるかもしれない。彼女もきっと殺し合いなんて望んでいない。 仲間をこれからも増やせるはずだ。基本的に誰もが笑う事を望んでいるのだから。 フと摩邪を見るとテツは彼女の服装が寒そうな事に気付いた。 仲間意識を持つと不思議なものでまるで彼女が妹のように見えてくる。 テツは赤いジャージの上着を脱ぐとそっと彼女に肩にかけてやった。 彼のジャージは赤。 色とは視覚を通して感じられる感覚の一種。 視覚から入る色彩情報が感情に影響を与えるといっても過言ではない。 一般に、赤は、情熱や活気などを表す。 情熱、活気、熱暑、激情、警告…そして、血。 血液を見て精神的に異常をきたしたという例は少なくない。 ならば異常時に血液、赤を見たら? …異常さに拍車をかけるであろう。 「今…私の事、殺そうとしたでしょ」 摩邪の口から発せられた予想外の言葉に戸惑うテツ。 「ちょっとま……」 「今、首…首絞めようとしたでしょ!」 テツを遠ざけようと振り回した包丁。 彼女はきっとここまで想像していなかったであろう。 彼なら避けてくれる。 包丁は無情にもスパッとテツの首を通った。 これはテツにも予想外。 「え……?」 首筋から吹き出る血液。

どこかで見た。

摩邪はそう思っていた。ただ、呆然とそれしか考えられなかった。 自分が何をしたかもよくわからなかった。 あぁ、ゲームの最初のビッキーズ。 首輪が爆発するとこうなるんだ。 彼の首輪が爆発した?

頭が真っ白。まさにそんな印象。 彼女が我に返る頃にはテツの体は冷たい地面に沈んでいた。
「あ……」
何が起こったのかわからない。 ただ、自分は寝ていただけ。

「…何の音だ?」

そうだよ、寝てただけだよ

「あれ?なんだこれ……嘘だろ…」

え?

「俺……?まさか……テっちゃん…?」

そんな事ない

「テっちゃん?テっちゃん!?」

これをやったのは……

           私?

洞窟の中に響くパンッという爆発音。 そして、石澤智幸の相方を叫ぶ声と悲鳴。

……誰か……誰か私に罰を与えて……私を助けて

テツandトモ 死亡

【残り32組】

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