大きい吉田を背負っていると、どうしても息が続かない。 レギュラーの二人は偶然見つけた灯台のような建物に入っていった。 「どっこいせ…っと。」 手が塞がっている為、足で器用にドアノブを開ける。 「重かったぁあ〜!」 吉田をちょうど置いてあったソファの上にゆっくりと寝かせる。 頭に押し当てていたタオルに付いた血は乾いて赤黒く変色していたが、出血はどうやら止まっているようだ。 ほっと息を吐き、すっかり堅くなってしまった肩をポキポキと鳴らした。 未だ吉田が目を覚ます気配は感じられない。 「さってと…なあこれからどうする?…松本君?まつもとくーん?」 いつの間にか自分の隣から松本が居なくなっていることに気付いた。 「西川くーん、来て来て!」 西川はドアを開けた。すると、二つ隣の部屋から松本の声がした。 出て行く直前にちらりと後ろを向き、吉田が寝ているのを確認してドアを閉めた。 「どないしたん?」 さっきまで居た所と比べると随分狭い部屋に入ると、西川はあっ、と声を上げた。 ごちゃごちゃと訳の分からないボタンやランプがあり、足下にはコードが伸びている。 大きなガラス窓の側にある机のような物からは細いマイクが伸びていた。 「ここ、放送室?」 西川は松本を振り向いて言った。 「なあ、コレでみんなに呼びかけてみん?」 その松本の声に少し戸惑う西川。 放送なんかしたら確実に自分たちの居場所がばれてしまう。 この呼びかけでみんなが集まってくれれば吉。逆に運が悪ければ…。 一種のギャンブルのようだな、と西川は思った。 「西川君、嫌か?やっぱ止める…?」 少し考えて、西川は言った。 「…いや、やろう!何もせんよりかは百万倍マシや。俺は可能性のある方に賭けるで。」 「よかった!」 満面の笑みで笑う松本を見て、つられて笑った。 そして、置いてあったパイプ椅子に腰掛ける。 「帰ったら、何したい?」 「う〜ん、ネタやりたいかな、やっぱ。舞台に立って。」 「俺はゆっくり寝たいわ。」 「ええー何でぇ〜!」 ひとしきり笑った後、真剣な表情で二人はマイクを見つめた。

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