「何なのよこの状況は…」 スタート地点であった廃校から離れた森で、女トリオが巨木の根元に呆然と座り込んでいた。 「あたし達は夫も居て家庭がある身なのに、なんでこんなめに遭わなきゃいけないのよ!!」 一人は頭を抱え嘆き。 「コレは…夢よ!そうよ夢に決まってるわ!!」 また一人は混乱の中頭を抱えて何度も頭を振っている。 「お、落ち着きなさい!!気をしっかり持たなきゃ駄目よ!!」 そしてまたある一人は、現実を受け止めようと支給されたバッグを開き中を確認していた。 「…殺し合いなんて私たちには無理ね」 バッグを開いた女は絶望したように呟いた。 二人の女はその様子に不安を覚え、喚くのを止めて女の手元を覗き込んだ。 各バッグに一つ必ず入っているはずの武器が無いのだ。 渡された3つのバッグの中にはスプーン、果物ナイフ、そして何故かチョコレートが入っていた。 「他の二つがハズレ武器なら分かるけど…このチョコレートも武器だって言うのかしら」 横から覗き込んだ女が無用心にそれを一つ口に放り込んだ。 「ちょ、もしかしたら毒かもしれないのよ!?何考えて…」 「大丈夫よ。落ち着くには糖分が必要だわ」 もう一方の女もそれに続いてチョコレートを一つ口にした。
「あなたも食べれば?」 二人に勧められたが女は後にするわと言って断った。 少しの休憩の後に今後を考えようと提案し三人は一度木に寄り掛かり目を閉じた。 「ゆ、夢なのよ…早く起きて、旦那を起こして会社に送り出さなきゃいけないの!!」 突然の仲間の声に女が目を覚ますと、目の前で泣きながら喚く女達の姿が目に入った。 「夢なら早く覚めて欲しいわ!!」 二人は何かに取り付かれたように、狂ったように同じ言葉を繰り返す。 「アナタ達どうしたっていうの!?しっかりしなさいよ!!」 女は突然の仲間の変わりように慌て大声を上げるも、 二人の女の言っている事は益々意味不明になって行く。 「夢なら…意識を失えば覚めるわよね…」 フラリと立ち上がった女が向かった先は波音のする暗闇。 「ちょっと!!そっちは崖よ!!戻りなさい!!」 夢遊病患者のようにフラフラと歩き出した仲間を止めようと女は立ち上がる。
「そうよ…アナタも起きなきゃいけないわよね」
先に歩き出した女に釣られるようにして立ち上がった女は、 一人静止を叫ぶ女の腕を信じられないほどの力で引っ張り歩き始めた。
「やめなさいよ!!コレは現実なのよ!?」
一メートル先に崖が迫る。二人掛で引きずられては逃げることも出来ない。
^^ 「さぁ、早く目を覚ましましょう…」
一歩一歩、確実に女達は死へと近付いていく。 「私たちは主婦なんだから…早く起きて、家事をしなきゃいけないのよ」 女達の目には愛する家族の姿が映っていた。 その顔には母親として、妻としての愛情を湛えた笑みが浮かべられていた。 一人正気で現実を理解することのできる女を除いては… 「やめて!ねぇ!!ホントに死…ッきゃぁああああああ!!!」 真っ暗な闇に包まれた森の中に女の断末魔の悲鳴が木霊した。 女は気付かなかった… 仲間達が口にしたチョコレートの中に幻覚剤が仕込まれていた事に。 ただの菓子にしか見えなかった、ハズレ武器であったはずのそれは 確かに強力な武器であったのだ。

死亡(だるま食堂) 死因(崖下への転落死/自殺)

本編  進む

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