助けて欲しい
彼女はそう思っていた。いざ、戦おうと思ってみると何も出来ない。 昔の自分を思い返すには十分過ぎる感情。 後ろから追ってくるのが誰かもわからない。 いや、確認する余裕が無いというのが正しいだろう。 一方、追う側のオリエンタルラジオは現状を楽しんでいた。 人は狩る側に回ると誰もがそうなるのかもしれない。 藤森の手に握られた鎖鎌はいつでも魔邪の後頭部を狙えたであろう。 それをやらないのは楽しんでいるから。この優越感を少しでも味わいたいから。 しかし、飽きは早くもやってきた。 「慎吾、そろそろじゃないか?」 中田の言葉に頷く藤森。 きっと私はここで終わる 彼女の中のどこかに死んで楽になりたいと思う気持ちが存在した。
「伏せて!」
突然、響きの良い声が魔邪に聞こえてきた。 オリエンタルタジオの二人には聞こえていなかった。 魔邪は自然とその声に反応して身を伏せる。 「止まれ、慎吾!」 藤森の反応は意外なほどに早かった。 足にありったけの力を込めて”ソレ”を逃れた。 「…ピアノ線か」 中田が空中に指を滑らせる。宙に張られたピアノ線が赤く現れた。 魔邪がそのままの体勢で走り続けていたら首から上がなくなっていただろう。 味方か敵かわからない声の主を魔邪は恐る恐る見上げた。 その人物をはっきりと確認した時、一瞬だが彼女の中から不安が消えた。 中本 哲也、石澤 智幸の二人からなるテツandトモだった。 声の主は中本…テツの方だろう。 「合図をしたら逃げるよ」 トモが魔邪に囁く。これが罠かもしれない、という考えは不思議と生まれなかった。 テツとトモの雰囲気がそうさせたのだろうか。 楽しそうに鎖鎌を振り回す藤森。 しかし、中田はこの場での戦いは不利だとふんでいた。 勝つため、生きるための方程式を頭の中に張り巡らせる。 「退く気は…無い?」 テツがピアノ線をちらつかせながら問う。 恐らくこの近くにいくらか張ったのであろう。 「こちらはないが?」 「こちらにはあるんだけどな」 視線で争うテツと中田。怯える魔邪。 いつでもテツを助けられる体勢のトモ。現状を楽しむ藤森。 「…今だ!」 突然、トモが魔邪の手を引いて走り出す。ピアノ線を構えながらその後ろを走るテツ。 「追うな」 「でも…!」 「機会ならいつでもあるさ」 中田は軽く言う。中田の言葉に頷く藤森。 三人の姿が見えなくなった頃… 「いずれかは潰し合う…」 突然、声がした。声のする方に振り返るオリエンタルラジオ。 「なら、今、ここで潰し合っていかん?」 身長180の長身が凛々しく見えた。そこに立っていたのは南海キャンディーズ。 山里はひっそり隠れていたわけだが。

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