血の臭いが濃くなる。この場を包み込むくらい。 この場に立つ者は残り4人。 赤いプルトニウムは銃を構え、いつでも撃てる状態だ。 壁際で青ざめた顔をしてるのがアップダウン竹森。 二階で見張りをしている阿部は、このような事態に巻き込まれず幸運としかいいようがない。 ただこの場で竹森が死ねば、何も知らないまま首輪の連動により死ぬことになる。 今、足元に転がっている唐沢のように――。 井上(次長課長)は、視線を河本の方へ向けた。視線を合わせ、 口だけを動かし『どうする?』と聞いた。ゆっくりと首を横に振る河本。 そうだな、今は下手に動くのはまずい。了解、と頷こうとしたその時――
 「逃げろ!!」
そう叫ぶと同時に、河本は頭を抱えヘッドスライディングのように部屋を飛び出した。 反射的に井上も河本に続く。築地のマグロの要領で素早く地面に伏せ、廊下に転がり出た。 一瞬何が起きたのかわからなかったが、顔を上げわかったのは、今自分のいたところを 銃弾が通過したこと。さっきまで自分の頭のあった壁に、穴があいている。
 「こっちや!!」
廊下を駆け出した河本は玄関へ向かう。井上も続いた。バン、と響く銃声。
 「この家から出ないと!」
 「ちょっと待て。竹森ってまだあの部屋にいるんちゃう?」
咄嗟に逃げ出してしまったが、あの部屋に竹森を残して来てしまった。  「けど戻ったら俺らが殺されるやん!!」  「あぁ…それもそうやなぁ…」 その時、再び銃声が鳴り響いた。そして男の叫び声。間違いない――赤いプルトニウムが、竹森を撃ったのだ。  「ほら!!何ぼけっとしとんねん!!殺されるで!!」 河本に腕を引っ張られ、なすがままに井上は外へ出た。 いやーまさかこんなことになるなんてなぁ…。恐怖よりも悲しみよりも、こんな非日常的なことに驚きを隠せない井上だった。

――アップダウン死亡

【残り34組】

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