暗闇の中、自分の足跡だけが響いている。 頭が痛い。 妙なことに巻き込まれてしまった。 ゆっくりと歩きながら未だ受け入れられない現実を必死に脳内に叩き込もうとしている。 こんなく何処かのツクリバナシみたいなもの、受け入れるはずもない。 まさか自分がこうなるなんて想像もしていなかったのだ。 番組に出演してるだけで人殺し? この場で笑い叫びたくなった。 「…なぁんで、こうなっちゃったのかなぁ」 笑いのかわりにボソ、と文句を零す。 と、足に不思議な感覚を感じた。 ぐにゃ、という明らかに不自然なもの。 「っ、うわぁ!」 思わず足を上げて、踏んだモノを見た。 ――死体だ。 もう誰のかも解らない原型を留めていないソレ。 ぐちゃぐちゃになっていて、見てると吐き気がした。 先程の放送をもう一度思い出す。 あの人でもない、この人でもない。 何となく見た事がある。ただそれだけ。 結局解らないままで、終わってしまった。 同時に自分の中でまた受け入れられないものが一つ出てきてしまった。 頭ン中こんがらがって、理解不能。 でも、一つだけ解った事実。 此れは、本物だということ。 そして、もたもたしていると自分まで死んでしまうということ。 …俺も、こうなるのか? 死にたくない。 殺したくもない。 俺は、どうすればいいんだ。 その場で立ちすくむことしか出来なかった。

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