いつまでも眺めていて、見慣れてしまった死体を見下ろしながら深く考えた。 自分が生きる確立はほぼゼロに等しい。 だが、完全なゼロではない。 生きれる…? その時、頭の中で何かが弾けた気がした。 と、後ろからガサガサという物音が聞こえてくる。 慌てて伏せた。 早く行ってくれ。 死にたくない 死にたくない 死にたくない 俺は、 生きる。 戦うんだ。 ナップザックの中に手を突っ込んで武器を手にした。 ボゥっと人影が暗闇の中にうつる。 相手の様子を見て待つことにした。 自分の武器を今一度確認してみた。 安易なテレビ等で良く見るような拳銃。 相手は一体…? 身構え、相手の顔を確認するまで暫く。 すると―――― 「あべ、さんっ」 「…はいじま?」 聞き覚えのある声に一瞬安堵した、が、 まだ油断はできない。 彼はこのゲームにノる人間なのか? また自分の中の緊張の糸が張り詰めた。 「そんなに敵視したような目で見ないでくださいよ。俺、このゲームに乗るつもりはないです」 「…へぇ、本当?」 「本当ですって」 「じゃあ、武器下に置いてよ。そしたら信じる」 我ながら安易な台詞だ。 彼もこっちの要望に答えてくれるだろうか。 カシャン 何かが下に落ちた音。 「これでいーですか?」 ほんっと、単純だなァ。 「…ン、それでいーよ」 落ちたものを確認すると、少し大きめのカッター。 「こんなんで戦え、なんて無茶しすぎですよね」 はいじま呆れた声で笑いながらそう言った。 「でもね、はいじま」 俺は、このゲーム乗ることにしたんだぁ。 「…え?」 先ほど捨てられたカッターをゆっくりと手にして 勢い良く彼を床へ押し倒し、カッターを突きつける。 「あべさ、っ」 「ごめん、俺は死にたくないんだ。他の人が生きてくれればそれでいいなんて綺麗事もない。  ねぇ、俺に殺してもらえるなんてハッピーなこと、きっとないよ?」 ニヤリ、と口元を歪めて見下すように笑ってやる。 彼の顔が青ざめていくのが暗闇の中でも解った。 何かが壊れていく。 俺も、みんなも、世界も、なにもかも。 「楽しかったよ。ぴん劇団も、ルミネも、色々。俺はやれるだけやる、だめだったら上で会おう?」 それだけ言い残し、彼の首へまっすぐにカッターを振り下ろした。

はいじまともたけ 死亡

【残り62組】

本編  進む

SEO [PR] おまとめローン 冷え性対策 坂本龍馬 動画掲示板 レンタルサーバー SEO