小さな液晶画面に表示された赤い点。これは生存者がいるということを表すのだろう。 自分たち以外の生存者がすぐ近くに――しかも二組ばかりいる。 これはまたとないチャンスだった。
 「なぁ、手榴弾もっとるやろ?」
次長課長井上は歩を並べる河本に声をかけた。
 「今俺らが向かってる方向に誰かおんねん」
この簡易レーダーも手榴弾も、先程二人が浜辺にて殺害したちむりんの二人に支給されたものだった。 河本は防弾チョッキと手榴弾。そして自分は麻酔銃とレーダー。 これだけの武器を備えているものは他にいないだろう。 そう考えると、優勝というのもそう遠くない道のりかもしれない。
 「あっちに手榴弾投げればええんやな?」
 「うん」
すぐに河本はポケットにいれておいたらしい手榴弾を取り出し、思い切り投げた。 それと同時に二人は回れ右をし、地面を蹴る。 少しの間と同時に後ろから耳をつんざく爆発音が聞え爆風が走り出した二人の背中を強く押した。
 「うわっ」
隣で河本が前のめりに転ぶ。井上も転びかけたがなんとか踏みとどまった。
 「すっごい爆発やなー。ここまで強いとは知らなかったわ」
 「ハハ、でもおかげで上手くやれたみたいや。見てみ?」
手元のレーダーを河本に見せる。先程まで点滅されていた二つの赤い点は死亡者であるということを示す青に変わっていた。 こうも簡単だと殺した気もしない。けれどこちらが危険に巻き込まれることも少なく、中々良い方法に思えた。
 「こいつら誰だったんやろ?」
 「まぁどうでもええんちゃう?あと三時間で六時の放送やし」
あっけらかんとした調子で井上は笑った。河本もにやりと笑みを浮かべると、 二人は夜の闇の中へ消えていった。


――ベネと千太郎死亡
――スパルタ教育死亡

【残り58組】

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