殺人ゲーム、プログラム。このゲームに参加した以上、殺しあうしかない。 それが出来ない者はただ死を待つしかない。それは当たり前のことだ。 しかし、果たしてそれだけがこのゲームへ臨む体勢なのだろうか? 例えば――このゲームを不正に抜け出す。このゲームを優勝とは別の形で終わらせる。 そういったことは不可能なのだろうか? 唐沢拓磨(レム色)は元東大生の頭脳を必死に駆使し、それを考えていた。 教養学部だが東大は東大。おそらくこのプログラム参加者の中ではかなり優秀な頭を持っているだろう。 もちろん、管理側のプロデューサーを含めて。
 「なぁ、なんか思いついた?」
その声に首を傾けると相方渡辺剛太が少し疲れたような表情で唐沢の顔を覗きこんできた。 横浜国大卒業の渡辺も教員免許を持っていたりと中々の学歴だ。 二人で協力すれば、このゲームを打破する方法も見つかるかもしれない。 そう思い、考え初めて1時間が経つ。渡辺は何も思いついていないらしい。すごく不安そうな表情だ。
 「――あぁ」
 「…え!?」
唐沢の答えに渡辺は目を輝かせた。 まだ確実とはいえないが、唐沢の頭には一つの案がある。 このゲームから逃げ出せないのは、この首輪のせいだ。だから首輪そのものを外すか―― この首輪を管理している本部を壊すか。 前者は相当危険なように思えた。首輪の構成を知らない以上、下手に触れば爆発するのは確実。 そうなると考えられるのは後者だ。本部を壊す。普通に考えたら不可能に思えるかもしれない。 首輪によりこっちの位置はばれているから、本部に近づけば殺される。 しかし――
「本部は森に囲まれている」
 「あ!」
すぐに渡辺もピンと来たようだ。
唐沢の作戦。それは本部の分校が森に囲まれていることがポイントである。 かなり単純なことではあったが、唐沢は渡辺に話し始めた。
 「本部の周りに火をつけるんだ。できるだけ上手く燃える方法は考えよう。 森とかなり密接している分校なら、きっと火は燃え移る。木造だしな。 それに周りが燃えれば本部からは誰も逃げられない。間違いなく潰すことができる」
 「首輪は電波で管理されているからその電波が無くなれば平気だ!泳いで海から脱出して、後に首輪を外す!」
どんどん声のトーンが高くなっていく二人は気づけば立ち上がっていた。
 「そうなったら他の生き残ってる人を出来るだけ集めなくちゃな!」
 「あぁ、裏切らないような仲間を集めて、皆で生きて帰ろう!」
渡辺は地図を広げ、民家や商店街が密集している辺りを指差した。 ここからは(ちなみに二人は公園にいた)北へ真っ直ぐである。
 「ここなら人が集まってるだろうし、分校とも近い」
 「おし、行くか!!」
意気揚々と歩きだした二人は、重大なミスがあることにまだ気がついていなかった。

【残り58組】

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