プログラムが始まって二度目の放送。それは残りの参加者全てになんらかの影響を与えていた。 残り50組。ピン芸人もいるため正確な数はわからないが、少なくとも20以上の死体がこの島に転がっていることになる。 普通に行動していたら、そのうち死体を見ることになるだろう。そんな時を想像し、インパルス堤下敦は身震いした。
 「なぁ、おまえ聞いたかよ?」
 「え?なにが?」
堤下の間の抜けた答えに板倉が口を尖らせる。腰をかけた樹木の根の下に生える葉っぱを毟りながら板倉は言った。
 「何が?じゃねーよ。今放送で言ってたじゃん――」
語尾が小さくなっていく板倉の言葉に、堤下は頷く。なんのことだかすぐに理解した。
 「あぁ…いつここ、か――」
もうどれくらい経つだろう。カンニングを助けに行って、でも助けられなくて。急いで戻ったら今度は板倉が殺されかけていた。 あの時自分が助けなければ、板倉は軽い怪我では済まなかった。けど――
 「――あの時俺が銃を奪わなかったら、二人は死んでなかったのかな…」
正直あの行動が間違っていたとは思えない。自分の一番の目的は、板倉を守ることだ。 だから多少の他の犠牲は目を瞑るしかない。とは言っても命を奪うことはしたくなかった。 けれど銃を奪った自分の行動は、結局二人を死に至らしめた可能性がある。――俺のせいで、あの二人は…
 「バッカ、おまえ、あんときお前があぁしてなかったら俺死んでたからね」
 「本当?」
 「うん。ありがたかった。まぁ、若干うざかったけどね。俺が助けてあげた!みたいな態度が」
 「なんだよそれ!!俺そんな態度したぁ?!」
いつものノリの板倉に同じくいつものように返しつつ、内心板倉の言葉に感謝していた。自分がこのことを気にしないように、 板倉なりの精一杯の気遣いを感じることができたから。 俺本当に良い相方を持ったな――。堤下は嬉しくて、思わず笑顔になった。
 「なに笑ってんの?気持ちわりぃー」
そう言う板倉も、特有のすきっ歯を見せてにこにこ笑っている。プログラム中とは思えないような空気が二人の間に流れた時―― 突如聞えた叫び声に二人は同時に振り向いた。

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