まだ信じられなかった。 目の前で人が殺されたって。 自分の目に映るものが夢であってほしいと
願い
縋り
そして絶望した。
「児島…なぁ、児島。」
「え…?」
自分が意識の奥底に入り込んでいたのだと気がついたのは渡部に声をかけられてから。 (あ…夢、じゃないんだ…) 隣りに居る渡部の首、 今ここに、非情なゲームに参加させられそうになってる自分の首には 無機質な首輪。 (これが…須知さんを…) 「!!」 「おぃ!!児島!?」 無我夢中で首輪を外そうともがいた。 そのもがく手を渡部が必死に押さえる。 「児島!!落ち着け!!落ち着けよ!!」 「でも、これが…これが!!」 狂ったように首輪を外そうとする俺の腹を渡部は殴り付けた。 「ッ…!!」 「落ち着けって、言ってる」 冷たい目で俺を見下ろす渡部。 その後ろには首輪と同じ無機質な笑みを浮かべたプロデューサーが居た。 「その首輪はなぁ、無理に外そうとすると… 爆発、するぞ?」 児島はサッと青ざめ、すぐさま首輪から手を放した。 須知の時のように、またあの音が自分の首輪から聞こえてくるかもしれない。 そう思った児島は耳を塞ぎ、前に倒れこんだ。 「うわぁっ、渡…部、渡部…!!」 「しっかりしろ。児島、落ち着け。」 渡部がゆっくり俺をなだめる。 「大丈夫だって…大丈夫…。」 だんだんと落ち着きをとりもどしてきた俺を見ながらプロデューサーは言った。 「本当は爆発するんだけど…あんまり殺しちゃうと怒られちゃうからな。今回は特別に見逃してやる。」 プロデューサーは後ろからナップザックを持ってこさせた。 「さぁ、お前らの番だぞ。視聴率、期待してるからな。」 ニヤリと笑ったプロデューサーを、渡部は睨み付けた。 「……行こう、児島」 渡部はナップザックを受け取り、俺の手を引きながら教室を後にした。 教室を出る瞬間俺は後ろを振り向き、最後になるかもしれない同業者達の顔を見た。 その時俺はいっぺんに悟ったんだ。
俺達は逃げられない。
これは運命なんだ。
だってほらこんなにも
狂気はすぐ側に迫っている…


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