大きな水筒からその透明な水を掬す。 水筒も一応は有るが、飲み口から直に飲んででもしたら、きっと明日の今頃には腐りきっているだろう。 それとも、この水が腐り切る前に死んでしまうのだろうか。 山崎はそう思いながら口をつけて水を飲むと、ごくん、と僅かながらも喉が音を立て水を吸い込んだ。
「……ふは…」
水と口が離れた瞬間に小さく息継ぎをして、残った水をざば、と掃き捨てる。
「ねえー、僕の分は?」
「自分のあるやろ」
山崎が一喝すると、山里はしゅんと肩を落とし、あからさまに落ち込んだ様子を見せ付けた。
「…たかが水でそんな落ち込む事ないやろ…しゃあない。ナイフとって。」
「ん。」
山里が少し遅れて生返事を返し、がざがざとバッグを漁りバタフライナイフを渡す。
「…よし」
手を浮かせた状態で林檎を切り、手を動かすが、寸分の狂いもなく慣れた手つきで林檎を回す。 しゃりしゃりと水の混ざった音と共に、ナイフで林檎がの兎が踊った。
「ほら、できた。一応これで水分補給ぐらいにはなるやろ。」
「ありがとしずちゃん、手先器用なんだね。」
そんな殺伐としているがどこか抜けた、という異様な空気の流れる中で、 突然に西の葉の辺りからがざ、と言う葉の擦れる音がした。

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南の飴@荒らし◇psHGIwsrfe
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