「…誰だ?」
山里が異様な気配を感じて、山崎の持っていたナイフを奪い取り、身構える。
「…僕ら、いや僕は戦うつもりはない。大丈夫。」
がざがざと音を立て、葉の間を切り傷だらけで通ってきた男が、抑揚のない口調でそう言い放った。
「そんなこと信よ―――」
「どっから来はったん。りんご、食べます?」
警戒して武器を持つ山里の言葉を遮り、山崎は緊張もなく言う。
「あ、食べるよ。」
「1個でええ?」
「…あ、あいつのもやってよ。あいつ寝てるからさ、あとで剥いてやって。」
「ん、おけ。」
山崎が手で林檎の兎を渡すと、ぺろ、と林檎の蜜でべたついた指の先を甘咬みしながら舐めあげた。
「…まぁ、寝てる相方にもやるなんて、優しいですね。」
「…別に、ふつうじゃん。」
「そんな優しいひとが死んだら、もちろんみんな悲しみますよね?」
「…?」
「静かにしてくれますか。」
きょとんとした顔で男は山崎を見上げるが、そんな男の様子に構う事もなくはっきりと言葉を続け、真摯な様子で男の目を見つめた。

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南の飴@荒らし◇psHGIwsrfe
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