地を踏み歩く音だけが辺りに響く。 しかしいずれはこうして歩くことも出来なくなるだろう。 死んで幽霊になったら足は無いわけだし。 「大丈夫か?」 「・・・あぁ」 カンニング竹山は相方中島の声にほっと胸を撫で下ろす。 とりあえず出発地点からできるだけ離れることにした二人は地図を確認し、 なんとなく北の方角へと歩を進めていた。 再び二人に沈黙が訪れる。突如殺し合いを命じられ、それが現実なのだとわかった今、 お喋りをする元気は二人には無かった。 ――それにしても。 竹山は怒りを覚えずにはいられなかった。 中島が倒れてから数ヶ月。病気は死に至るようなものではなく、1年で完治するだろうと言われていた。 一時はカンニングの解散を考えたが、竹山は中島が復帰するまでの間ピン芸人として活動することを選んだ。 中島の病気が治った時、もう一度2人でやれるように、と。 しかし、突然の殺し合い。 まだ完治していない中島も病院から拉致され、 1年以内に治るどころか今この瞬間に死んでもおかしくない状況だ。 無理な運動が出来ないような中島は、他の者より生き残ることが難しいかもしれない。 だから相方の俺が、コイツの分まで頑張らないと。 そしてあのクソプロデューサーをぶん殴ってやる! キレ芸人竹山隆範は強く誓った。

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