無機質な雰囲気の小さな部屋。 何の変哲もないパイプ椅子の前には口の高さに丁度いいよう、マイクが突き出ている。 そんな狭く暑苦しい空間の中に、緊迫した表情を浮かべる2人の男がいた。  「いくで、西川君」  「うん」
顔をあわせて頷くと、レギュラーの2人はマイクの前に向き直った。 松本が、スイッチをオンにしようと手を伸ばした。

ゲーム開始から結構が経つが、2人がこの決断に至るまでもやはり時間がかかった。 もしかしたらこのゲームを止めることが出来るかもしれないが、逆にかなりの危険を伴う。 島の随所にスピーカーがついているのは見てわかった。 だからきっとどこかにあるはずだ。そのスピーカーを使うことができる放送室が。
「きっと皆怖がってるだけやと思うねん」
もうかなりの死者を出しているこのゲームで、今更と思うかもしれない。 けれど2人はどうしてもこの可能性にかけたかった。
 「これで呼びかけして、皆に殺し合いやめてもらおう」
松本と西川は顔をあわせ頷いた。

ブッ、と電子音がして小さなランプが赤く点灯する。 指先から出た血のようだな、といつも松本は思っていた。 スイッチが入った。あとは皆に呼びかけをするだけだ。 せーの、と合図のように一呼吸し、2人は同時にマイクに向かって叫んだ。  「皆ー僕らの話を聞いてー!!」

本編  進む

乃 ◆5DYYl3NWdY
SEO [PR] おまとめローン 冷え性対策 坂本龍馬 動画掲示板 レンタルサーバー SEO