「聞こえるか?児嶋」 「…うん」 二人の背後に迫る足音。 必死に気配を消そうとしているのがわかるのだが渡部達の神経はいつも以上に張り詰めていた為、無駄な努力だった。 無意識のうちに長井から拝借した銃を握る手に力を込める。 (…味方か…敵か…) どちらにしろ気は抜けないな。 渡部は立上がり、銃を足音のする方に向けた。相手が飛び掛かって来る様ならすぐにでも撃てる様にだ。 だが視線の先から聞こえて来た声はそんな緊迫した空気を打ち砕く様な、あっけらかんとしたものだった。 「あれー渡部さん達じゃないですかー。」 「…波田…君?」 見知った相手に緊張の糸を緩めそうになったが、渡部は再度手に力を込め問い掛けた。 「波田君は…」 「僕ですか?僕はのってませんよー人なんて殺せないですから」 渡部の心を見抜いた様に、答える波田を渡部は訝しげに見たが その返答に安心したのか児嶋が波田に駆け寄った。 「渡部、そんな顔すんなよ。波田君なら絶対味方だよ、な?」 「そうですよー僕は味方ですってー」 よくもまぁ何も考えずに近付いたもんだ…と渡部は呆れたが (…確かに波田君から変な感じはしないし…大丈夫だよな) 「わかった…ただ少しでも変な事したら容赦ないから」 「わかってますってー」 仲間が増えたことで嬉しさを隠せない…いや、むしろ嬉しさを全面に押し出して鬱陶しい程の児嶋を眺めていた渡部は 波田の変化に気がつく事が出来なかった。 死神は怪しげに微笑む。

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