男の雄叫びに答えるように左前方の茂みが大きく揺れた。 男はその茂みの中に敵の姿を確認したわけではなかった。しかし男が握りしめているサブマシンガンはパララララッと軽い音をたてて茂みの向こう側を狙い火をふいた。 数十秒間男は叫びながら撃ち続けた。その声をかき消すように男の持つサブマシンガンからは空薬きょうが吐き出され続ける。 弾薬がつきた。男は銃を下ろしその場に座り込んだ。叫び続けた男の喉は潰れ、銃を握りしめた手、指は血に滲み、足は震え、汗がとめどなく溢れた。 何十分たっただろうか。男は息も絶え絶え茂みの中を確認しにいった。 いまだ足が震え茂みにたどり着くのにも数分要したが、自分を殺そうとした奴を確認しようとゼイゼイ言いながら這っていった。 茂みをかき分けて恐る恐る覗いた。男の目には焼け焦げた草や木の枝。地面にも数ヶ所銃弾が跳ねた痕が残っていた。 しかし…… 『死体がない…?』 男は凍り付いた。まさか……やり損ねたのか??驚愕する男の後ろで草のなる音がした。今までよりハッキリと。 男は後ろを振り返った。すると次は右側から地面を蹴る音が。と同時に上方の木の枝が大きくしなった。 敵は複数いた!!? 男は弾の入っていない銃を構え遮二無二突っ込んでいった。 『うわあああああああああああ!!!!!!!』 男の狂ったような声が辺りに響き そして 途絶えた。

芸人たちが殺し合いを続ける中、本部では番組のスタッフたちが作業を続けていた。 「五味プロデューサー。また死亡者が確認されました。」 スタッフの一人が回転椅子に座る男に告げた。 「コンビ名は?」 近くにあるボードを取りながら五味一男は聞いた。 「ハロっていう2人組です。一人は殺されてますから、もう一人は首輪でズドンってとこですかね」 スタッフはこともなげに言った。 ハロね…。 五味一男はボードに記載されている出演者リストを指でなぞっていった。 ハロ…ハロ… しばらくして見つけた彼らのコンビ名の上に五味一男はボールペンで斜線を引いていった。 「ハロ死亡っと。いやぁだんだん減ってきてるねぇ。このままじゃ視聴率はうなぎのぼりに違いないね。」 五味一男は嬉しそうに言った。ハロと言えばちょっと前流行った韓国俳優を模したコントをやってた奴らだ。別段面白かったわけじゃないから死んでも支障あるまい。五味はクククッと短く笑った。 「そういやさっき外で銃声がしてたけど大丈夫なのかな?」

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