どうして人を殺しちゃいけないの? よく聞く、ありきたりなフレーズだ。 はなわは血の海の中に立っていた。 でももし、将来あいつに聞かれたら、俺は答えられるかな。 ちゃんと、あいつの眼を見て。 だけど俺は生き残らなきゃいけないんだ。最後迄生き延びて、家族の元へ帰る為に。 はなわに渡された武器は、長方形の箱だった。 但しそれは折り畳んだ時の状態だが。 はなわは乗り気ではなかった。 正確に言うと、襲撃された時はともかく、今乗るのは時期尚早と考えていた。 放送を聞いて、ある程度の人数になったらそいつらと戦えばいい。 それ迄は雑魚どもで殺し合いをしていればいいと。 ただ、当然だが最後の方迄残る奴はかなり手強い奴だろう。 そいつらと戦う為には、この武器の扱いに...人を殺す事に、慣れておいた方がいい。 はなわは、練習台を求めて歩き回った。 どれ位歩き回っただろう。 見たのは死体ばかり。生きている人間には出会わなかった。 ちっ、探している時程、人に会うもんじゃねえな。襲撃さえ、されやしねえ。少し休むか。 と思った矢先、格好の獲物を見つけた。 休憩しようと、たまたま入った洞窟に、その獲物がいた。 ザ・プラン9は、五人という人数故、意見がまとまらず、身動きが取れなくなって、その洞窟の中に潜んでいたのだ。 ザ・プラン9か、用は一人を殺ればいいわけだな。 五人が身構える隙も無く、はなわは無言で箱を...折り畳み式ボックス型サブマシンガンを素早く展開させた。 「パンパンパンパンパン...」 血まみれの浅越ゴエ。ほんの数秒の出来事に、何があったのか飲み込めない侭四人の首輪が炸裂した。

ザ・プラン9死亡

【残り41組】



意外と、手に衝撃が無いな。はなわは思った。 後、結構飛距離が短い事も。 ほんの何秒もかからずに素早く展開する事はわかっていたが、引き金を引くのは初めてだった。 他のサブマシンガンを持った事が無いからわからないが、多分軽量な方なんだろう。だからこんなものかもしれない。 とは言え、普通の銃や、ナイフより有利なのは確かだ。 でも俺の一番の武器は... はなわはジーンズのポケットから一枚の写真を出した。 幼い息子を抱きしめている妻の写真。 色々と没収されて、代わりにナップザック一つを渡されたが、これ迄没収されないでよかった。でも... もう俺は、息子の眼をまともに見られないかもしれない。 それから、五つの死体を見た。 こいつらにだって、親はいるんだろうにな。 感傷に浸っている場合じゃないんだ。俺は、生きて帰らないと。 妻と、息子の為に。 はなわはザ・プラン9のナップザックを漁った。 碌な武器は無かった。辛うじて、バタフライナイフがある位だ。 後は食料位しか、役に立たないな。 少し休むか。 死体の傍で寝るのは正直、気持ちが悪い。 でも血の海を越して更に洞窟の奥に入った。 返って、ここの方が少し位寝ても安全だろう。それに、死体に慣れた方がいい。 血生臭いな、そう思いながら、はなわは眠りに落ちた。

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蛙 ◆GdURz0pujY
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